しゅわっち

やさしい本泥棒のしゅわっちのレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
4.5
第二次世界大戦直前、ナチス政権下のドイツが舞台。ホロコーストを扱っているが主題はそこではなく、共産主義者の母親から離されて里子に出された少女リーゼルが本から知識や勇気、生きることへの希望を見出す。
それまでの逃亡生活から学に乏しく、自分の名前すら書けなかったリーゼル。新しく通うことになった学校でバカにされるも「学ぶ機会が無かっただけでバカではない!」といじめっ子に殴りかかる芯の強さを持つ。そんな彼女は養父のハンスと一緒に本を読みながら読み書きの練習を始める。
子供にとって「学びたい」という気持ちは好奇心と共に、もの凄いパワーを与える。その気持ちが行き過ぎ、当時の情勢から危険すれすれの行為をするリーゼルにハンスが言う「気持ちが溢れたんだね」の言葉が印象に深く残る。
養母のローザは最初リーゼルに辛く当たるが、それは貧しい家庭事情のさなか、家族のために常に生活のことを考えているから。ストーリーが進むにつれ少しずつ和らいでいき、ローザがリーゼルを叱りに学校へ怒鳴り込んでくるシーンで涙(१д१๑)

時代が時代だから辛いシーンはあるが、リーゼルの周りの人が予想外に温かい。
ハンスの家で匿うユダヤ人マックスとの交流や、本から学ぶことを希望にし強く生きるリーゼルは、近年意識する気持ちが薄らいだ【学ぶ】という気持ちの大切さを教えてくれる。

こんな良作なのに日本では劇場公開無かったとか…どうなってんの。


2015/12/06 Blu-ray
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