だいき

インサイド・ヘッドのだいきのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
4.5
ヨロコビだけでは生きていけない。

2016年アカデミー賞長編アニメ映画賞受賞作品。
ピクサー・アニメーション作品15作目。
これまで様々なものを擬人化してきたピクサーだが、今回は生き物の脳内にある感情。
主人公ライリーに焦点を当て、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカという5つの誰にでもある感情を描写。
さらに、感情だけではなく、記憶や忘却、妄想、深層心理、性格形成、夢など頭の中で起きていることが全てビジュアル化される。
頭の中を隅から隅までビジュアル化したイマジネーション溢れる作品。
その一から世界を作り上げる想像力には圧倒された。

本作のテーマは「なぜ、カナシミが必要なのか」ということ。
カナシミなんて厄介な感情いらないのではないか。
特に成長して大人になってから「自分は泣いてはいけないん」、「弱音など吐いている場合ではない」といつの間にか自分で自分を苦しめている人は沢山いる。
そういう思いに対して、原題の『Inside Out』(=裏返し)というやり方で「カナシミも必要」ということを表している。
全ての感情が自分自身のために頑張ってくれている。
脳内にある感情はどれも掛け替えのない存在で、嫌な感情を持った自分も全部を受け入れようという気持ちになれる。

また、ピクサーの素晴らしいところは子供と大人、両方の観点から考えさせられ、どの世代が観ても楽しめるという点。
「どうしてカナシミが必要なの?」というメッセージは直接言葉では語られないため、子供にとっては理解できないかもしれない。
そんなメッセージが分からなくてもしっかり楽しめる構成になっており、テーマパークのような脳内とヨロコビ、カナシミの冒険は緊張感と感動を生む。
一つの物語には様々な感情があり、そしてどんな感情も大切な思い出になりうる。
それが犬でも猫でも。
優しさに包まれた大傑作だった。
だいき

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