森泉涼一

007 スペクターの森泉涼一のレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
4.8
ダニエル・クレイグが4度目のジェームズ・ボンドにしてシリーズ24作目はボンドシリーズ最高傑作と言い切れる。
前作「スカイフォール」ではボンドの過去に迫り真相を解き明かすという面に重きを置いていたのに対して本作「スペクター」ではスカイフォールで焼け残った物がキーとなり更に深い謎にボンドが挑む。
冒頭では「死者の日」と言われるメキシコのお祭りから始まる。奇妙なネーミングとおり人々は髑髏をモチーフにした仮装でパレードしているが、この楽しむ最中で潜入しているボンドが何をしてくれるのかと想像するだけでもワクワクしてくるのは必須。
ボンドシリーズではお馴染みだが、必ず冒頭はこのように余興的なシーンがありオープニングが始まるいう1セットがあり、簡単に言うのであれば冒頭はボンドを出迎えカッコよさを堪能してからオープニングに浸り本編に入るといったお決まりがある。
だが、本作は冒頭から目を離すことは厳禁。エンジン全開でボンドアクションを披露した前作「スカイフォール」と比較すると派手なアクションこそないものの、スタイリッシュに任務を遂行する姿に見惚れてしまう。
そして1セットのもう一つ、オープニングは感無量の一言。前作ではAdeleが美声で魅了したのに対して本作はセクシーで柔らかい男声を披露したSam Smith。聞き入ってしまうかもしれないが実はオープニング映像も意味があるというのもボンドシリーズの隠し味。
本作の「スペクター」とは悪の組織の名称だが、同時にボンドの過去を清算するという意味でも捉えられる。過去の名悪役の名前も次々と現れる中でその背後に君臨しているのがクリストフ・ヴァルツ演じるオーベルハウザー。前作でハビエル・バルデムが猟奇的悪役を演じたが今回は冷酷さも猟奇さも増している。
この二人の対決に見所があるのは当たり前だが一方でロンドンのMI6本部でも不穏な動きを見せる。ボンドの動きに不満を持ち圧力をかけてくる辺りは前作まででよく見られたが、今回はこの改革が本格化してくることでジュディ・デンチから引き継いだレイフ・ファインズ演じるMやQまでもが窮地に追い込まれる。ボンドを信じるか裏切るのか。瀬戸際の決断にも注目したい。
今年はスパイアクションの代表作「ミッション~/ローグ・ネイション」や「キングスマン」、「コードネーム~」という斬新なスパイ映画も公開されたが、スパイアクションといえば「007」ここにありと他の作品に強く示したほど群を抜いた映画だ。