007シリーズはこの作品で有終の美を飾った方がいい。それだけの完成度を持つ。
冒頭の大群衆上でのヘリコプターアクションで度肝を抜き、前半は過去のシリーズをセルフパロディ化してクスっと笑わせる。
そして後半、真の敵の描き方が良い。悪が単純な悪だった時代は過去。味方の組織も信頼出来ず、いつ後ろから刺されるかもしれない孤独感。それでも言わば肉親とも言える敵と対峙し続ける執念。
そうここで表現されるのは、現代人に普遍の心理だ。
殺しのライセンスを持つボンドが銃を棄てるラスト。それを見送るMとブロフェルド、その意味するところをサムメンデスが問いかけている。
4.5point