百合

パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊の百合のレビュー・感想・評価

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Pirates Life. Hector.
バルボッサァアァァォアアアアアアアアアアアアアアア!!!という感じでしたが。え、最終作なの??そんなことないよね?悲しい。
シリーズのファンとしてはかなり楽しめる仕上がり。かなりニヤニヤできるつくりになっております。サイコーだね。
ただ前部連作の壮大さと比べては見劣りするかな〜シリーズ物の宿命ですね。この作品の大きな特徴である刺々しくややこしい会話劇が置き去りにされていたような…MX4Dで見たから注意が逸らされただけでしょうか。
相変わらずジェリー・ブラッカイマーの歪んだオイディプスコンプレックス丸出しというか。なぜヒロインの父はいつも‘うしなわれる’のか…父が死んではじめて女性は他の男性の正式な所有物になることができる、ということでしょうか。意地悪な見方だけど、そう考えるとあまりジェンダー平等的とは言えない映画。だからバルボッサの過去が明かされた時点で彼のクライマックスは予期できる代物になってしまった。
そして今回もほんのり疑似家族モノ。ウィルとエリザベスを知るジャックのもとに現れるウィルの息子。彼はウィルと同様、ジャックに助けを求め頼ってしまう。その動機はまさに‘家族の回復’。それを叶えてやったジャックはまたひとりに戻るわけですが。
ジャックの魅力とはここにあるのかもしれないと思う。家族や家柄に囚われたりそれを回復したがっていたりする人々と、それをどこか外側から眺め、おちょくり、最後にはすべてを与えて‘去られる’側のジャック。あらゆる規範から自由であり、それゆえの孤独を鮮やかに生ききるジャックはやはり理想の海賊であり、理想のヒーローなのかもしれない。(しかし意外なことにジャックの家族というものはわりと強い紐帯で結ばれているのです。今回も叔父さんがチラリと出てきたね。しかし例えばジャックの姉や、母(ガイコツなら可)がスクリーンに映ることはない、し、あってはならないのだ。それは家族というよりは‘強い絆で結ばれた男たち’と呼ばれるようなものがジャックの基盤にあるべきで、だからこそジャックはいつまでも孤独でいられるのだ)
あと今回はジャックの過去が見られるのが興奮しました。あの過剰装飾にはそういう意味があったのね…かわいいな…ジャック若!!!演じ分けてる!すげえ!と思いましたが後で調べたところ別の俳優さんだそう。『ブラック・スキャンダル』で見事な老けようを見せてくれたジョニーデップだから若返ることもできるのかと思ったのだが…若さと才能に恵まれた傲慢さがよく出ていてとてもよかったね。あの若造がバルボッサとああなってこうなって今の「ジャック」「ヘクター」の関係になるのか…と一歴史を見せられた気分。個人的には若かりしジャックがコンパスを回しながらこちらを見るシーンが好きでした。
いずれにせよ爽快な気分になれます。なぜか炭酸飲みたくなった。
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