パワードケムラー

THE NEXT GENERATION パトレイバー 第4章のパワードケムラーのレビュー・感想・評価

3.0
 田口清隆監督に押井守監督が「百万円やるからCGでも特撮でも好きなようにして作れ!」というお達しをの元、東京の映像制作会社が作ったシュミレーション(という名の広報)映像『大怪獣熱海に現わる』から始まるエピソードで、廃棄物13号のような展開になると思わせつつも、そちらとは別の社会風刺に落とし込んでいる。

 様々な思惑が絡み合い、本来の目的からどんどんズレていくところは正しくパトレイバー的というか、難しい理屈を捏ねくり回していくのも押井守的で小気味が良い。前編でも共通していることだが、押井守監督は「キャスト費を抑えられた反面、熱海撮影が面白すぎて変にカットが少ない部分や多過ぎる部分があって整合性を取るのが大変だった」と言っているがキャスト費を抑えるために呼んだ友人が豪華だったりとするのも「日本サブカルチャーの歴史」を感じさせて面白い。

 続く爆弾魔の話では、特車二課がみんなで理屈を捏ね回すところに大きな時間を割いているのがこれまたパトレイバーっぽい。その上、98式AV イングラムがほとんど活躍しないというのも、旧作っぽくてファン心をくすぐる。