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チェインドのequalのネタバレレビュー・内容・結末

チェインド(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

汚い中年サイコパスに監禁される映画は、いくつか観ており、
大体は、犯人に反撃して逃げたり、警察が踏み込んで救出されたりという展開だと思います。

この作品も、犯人の最期としては同じですが、誘拐・監禁・虐待・死体を隠す作業の強要などなど…地獄だわねと思いながらも、これらの行為自体は若干見慣れてきて、早く開放されて欲しいなと思って観ていたら、母子が狙われた理由、少年と犯人との関係等が徐々に明らかになるので、予想を裏切られたシナリオでした。

観ている時は気にならなかったのですが、この母子は、犯人の獲物の対象には当てはまりません。
犯人にとっても少年は邪魔でしかなかったはずですが、鎖に繋がれた人以下の扱いでも生かされていました。犯人の設定はよくあるもので、父親から虐待された過去があり、自身もPTSDに苦しみながら犯罪を重ねていたのですが、少年に自分を見ていたのかと思います。

少年が青年になった頃、犯人に父性らしいものが現れます。
勉強しなければならないと、人体について学ばせ、女を抱きたい歳頃だろと、誘拐して当てがったり(その後の殺害までセット)と、とても一方的な家族ごっこでしたが、不器用な感じが【レオン】を彷彿させ少し微笑ましく思いました。

開放された後、青年はまた地獄を見るのですが、
まさか自分の父親が、妻と自分が邪魔になり、自分の兄(犯人)に殺害を依頼していたなんて。
犯人の回想シーン(父親から暴力と母親との近親相姦の強制)に、弟いました!見てました!
サイコパスの血は、父からこの【兄弟】へ受け継がれていたのです。
青年は、実の父を手にかけてしまいますが、この青年に暴力的な血は引き継がれている様には感じませんでした。正当防衛であって欲しい。

映像は、犯人の家に戻ってガレージのシャッターを降ろしたところでおしまい。
エンドロールは、そのすぐ後の青年の足音が流れていました。
きっと大変だろうけど、青年には静かな生活を送って欲しいと願わずにはいられない。

後味悪いけれど真っ暗ではない、再び開かれたシャッターの音で、想像が掻き立てられる良い作品だと思いました。
すき。
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