そりっどあいぼりー

たまこラブストーリーのそりっどあいぼりーのネタバレレビュー・内容・結末

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

たまこまーけっとは脚本の酷さしか感じなかったのに、劇場版でこれだけの傑作を作り上げるとはにわかに信じられない。TVアニメで描かれた変わらない日常からの卒業を描いた、TVアニメ劇場化作品のなかでも稀にみる傑作だった。TVアニメの余計な部分を廃し、たまこの心の葛藤にほとんどの時間を費やすことで、「日常系」の崩壊とたまこの成長を繊細かつ丁寧に描くことに成功している。その結果、ラストの10分がアニメ映画史上に稀に見る興奮とカタルシスを生んでいるのだ。特に潔いまでにスパっと終わるエンディングの素晴らしさは、あのフレンチ・コネクション2と比較しても劣らない白眉の演出。これは大傑作です。

僕が思う特に素晴らしいシーンは、カセットテープのシーン。たまこがもち蔵に返事を返すべきか深く悩んでいるときに、父親のテープを聴いていると、ふとA面からB面に文字通り「リバース」され、母親が歌う、父親の曲への「回答」となる曲が流れる。自分の母親が、父親にきちんと返事していたという事実を知ったたまこが、もち蔵に返事を決意する瞬間をこのような自然な描写で表現することの凄さ。素晴らしい。参りました!