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ソロモンの偽証 前篇・事件のNRWのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

前編を見て後編を見ないなんてことはほとんどないと思うので
両方見た上で同じレビューを両方に書いています。悪しからず。

新潮社のインタビューで
「いつもアイデアと一緒にタイトルが出てくる。敢えて説明してしまうなら、最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。」と答えていた。

都合の悪いことは隠してしまう学校。
そして全てを知っていて自分の罪を告白するという正しい行いをする神原が嘘をついていたということだと思う。

学校裁判は学級会の延長ではなく、真実を明らかにする場として緊迫感に包まれていて、馴れ合いや徒党を組むようなこともない。
断罪を目的としていないが故の個々の心の救いの場みたいになってるのも良かった。
見えている姿と中身は違う。辛さを抱えながら頑張っていたり、人に見せない努力や悩みは誰にでもある。そういうことを誰かがちゃんと見てくれていたり、その頑張りを認めてくれるだけで救われる心があったり、一歩前に踏み出せたりする。

犯人と疑われているのに弁明の機会が与えられない大出、告発書を出したのには深い理由があったのに蓋をされた三宅。正しい情報がわからないまま噂と思い込みで人を判断する人々。学校内裁判は「偏見を廃し、フェアに意見を聞く」場所として重要な場所だった。

後日談で、20年後。藤野は弁護士になって神原と結婚していたのにはびっくりした。きっと何かあったら話し合う公正で平等な夫婦になっていることだろう。
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