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ソロモンの偽証 前篇・事件のtakeman75のレビュー・感想・評価

4.3
とにかく本作の何が惹きつけられるって、物語の鍵を握る中学生たちの「眼力」が凄まじい。
正直、話を聞いただけでは荒唐無稽にも聞こえる「中学校裁判」というプロットを、ここまで説得力のある、観客が「本気で見守ろう」という気持ちにさせられるのも、事件の経緯の細かい辻褄合わせなど以上に、この事件に巻き込まれた彼らの真摯な(かつ一部の者は、ゾッとするほどの「狂気」を含んだ)「これをやらなきゃいけないんだ」という強烈な意志の力が、そのぎらついた瞳の輝きから放たれている故ではないか。
一体この事件が、どのような結末を迎えるのか、現時点では本当に想像も付かないが、少なくとも前篇を見た限り本作は2015年の邦画を代表する傑作となりそうなのは間違いないし、もっと言わせてもらえば本作は、黒沢清の『贖罪』以来もっとも観る者の感情を凍らせる、最恐のミステリー大作となりそうな予感がする。成島監督、もしもこれで後篇がガッカリする様な出来だったら、本当に許さないよ。
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