あずき最中

ソロモンの偽証 前篇・事件のあずき最中のレビュー・感想・評価

3.5
原作未読。

深夜に真っ暗な部屋で観はじめたせいで、冒頭の遺体発見シーンはぞわぞわした。
目を見開いた柏木くん(望月歩)の表情がなかなか頭から離れなかった。
※作り物かと思ったけど、目をつぶらないように演技してたらしい。柏木(望月)くんすごいなあ。

設定や登場人物が身近に存在しそうな空気感。オーディションで、プロ素人問わずに生徒役を集めたことが効いている。
メイクやファッションで固められた個性はないのに、どの子もふしぎと個性が立っていて、「THE 学校」という感じ。
脇を固める大人役の俳優さんの演技も良かった。

●登場人物について
藤野良子(藤野良子)
まっすぐな目が魅力的。でもどこか不安げな雰囲気があって、それが役柄の心の動きとマッチしてた。
終始大人びているけど、前後編を通じて「良い子ちゃん」の殻を破ろうとして、自分と戦っている姿がカッコいい。

野田健一(前田航基)
作中一のムードメーカー。神原くんや大出くんとも絡みが多くて、なにげなく欠かせない存在。舞台挨拶で言っていた「藤野良子好き設定」がちゃんと演技ににじみ出てて、微笑ましかった。

大出俊次(清水尋也)
いじめシーンがえぐい。同時期に撮影していた『渇き。』で演じていた、いじめられっ子役とのギャップ......。
後編含め、大して更正はしないし、したことを考えると同情はできないけど、ままならない感情を暴力で発散する様が痛々しくて、観ていて辛くなる。

三宅樹里(石井杏奈)
終始陰鬱な雰囲気で前編ラストシーンの緊迫感はすごかった。
おそらく、自分でもおかしなことをしてる自覚はあるんだけど、「こうするしかない!」って歪んでいってしまったのだと思うときつい。
良子は柏木くんの言葉で「心の中を血まみれにされた」と繰り返すけど、樹里の心はそれ以上の凄惨な状態だったはず。
松子がいたこともあるとは思うけど、樹里の反骨心というかただでは死なない感は称賛に値するのでは。
石井さんの演技、もっと観てみたい。

浅井松子(富田望生)
ぐう聖。途中退場した結果、ようやく周りから評価された感もあって、そこが悔しい......。

※長くなったので続きは後編へ!
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