HirotoMori

トゥモローランドのHirotoMoriのネタバレレビュー・内容・結末

トゥモローランド(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

<原題:Tomorrowland>

締め方は凄い好きだから後味は良かったのだが、冷静になって思い返してみると「うーん」ってなるなんとも言い難い作品だった
まぁどっかの批評にもあったけど見事なまでのディズニー社是作品ではある あと『Mr.インクレディブル』などを手掛けたアニメ監督メインのブラッド・バード監督の珍しい実写作品という意味では、一風変わった感じの演出ができてて面白い

ディズニーのイッツ・ア・スモール・ワールドとトゥモローランド、そしてプラス・ウルトラとかの都市伝説が全体のベースとなっているこの映画
その部分に関しては少年心をくすぐられるワクワク感が非常に強く感じられ、フランク・ウォーカーが1人で迷い込むシーンも、つい次にディズニーに行った時にどっか探索したくなってしまうような高揚感に満たされた
他にも、フランク・ウォーカーの家での戦闘や、エッフェル塔の仕掛けなど至るところに冒険心をくすぐられるシーンがある

キャラクター設定も非常に分かりやすくて良い
それぞれが抱える現実と理想の葛藤は色々考えさせられるものがある
その葛藤を、この映画はあくまでドリーマー(楽観主義者)とリアリスト(悲観主義者)の二項対立で見せてきている
そしてキャストとしては、主演フランク・ウォーカー役は名優ジョージ・クルーニー
そして何よりもこの映画の魅力であるのが、アテナ役の女優ラフィー・キャシディ この子がめちゃくちゃ可愛い そして素敵なブリティッシュ・アクセントを話す この子のおかげで映画の評価が上がってると言ってもいい

じゃあ何が問題か
それはトゥモローランドに到着した後だ
ここから設定が凄い甘く感じられた
一瞬、未来予測装置の映像が変化したのをデイヴィッド・ニックス総督がガン無視するのもよく分からない むしろこれが君が待ってたものじゃないのか じゃなけりゃなんであんなトゥモローランドで老いない薬を飲みながら生きながらえてるんだ
そして何よりも納得がいかないのが、「あの未来予測装置を壊しちゃえばいいじゃん!」っていう作戦をさぞ名案かのように描いてるところ
あの球体はそもそも、フランク・ウォーカーがまだドリーマーであった時に作ったものだから、それが原因だったってのは本当にしっくりこない
しかもそんなことこれまでに試せたじゃんっていう作戦 電源OFFボタンがないという辻褄あわせの設定も「んなわけ笑」ってなってしまった
そしてトゥモローランドで滞在した区域が狭すぎる もうちょい色々見せてくれたって良いじゃないかと思ってしまう

なので話の流れにおける課題解決の部分はどうも好きになれなかった
ただ最初に述べたように、この映画後味は良い
というのも復活したトゥモローランドからアテナの後継者(ロボット)たちを送り出すシーンとその時のスピーチは、私自身が今の世の中に絶望してるし悲観してるからこそ刺さるものがあったからだ
このエンディングは、夢を見続けられる人であれというメッセージのもと、勇気をくれる
そういう意味では、トンデモ技術と奇跡でなんとかなった映画じゃなくて、諦めなかったからまだなんとかできるんだ、みんなでなんとかするんだっていう映画と解釈することもできるであろう 現に、未来はもう大丈夫っていうスタンスではなく、とりあえず直近の破滅は防げたけどこれからどうするっていうスタンスは納得がいく(逆にあんな爆発一つで人類の永続的な破滅が防げるならは?ってなるよね笑)
ただこの映画、一つ忘れちゃいけないのは、2人ともただ楽観的だったわけではなく、賢かったというところだ これは映画のメッセージに隠れてみんな有頂天になってしまいそうなところだが、何かを成し遂げるにもまずは賢くならなければならないのも事実だ
HirotoMori

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