KyoheiNishikawa

ジャージー・ボーイズのKyoheiNishikawaのレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
3.4
なんだろう。イーストウッドならもっと重厚なヒューマンドラマに仕上げれたのではないかと思ってしまう。
4人組バンドの成功と挫折を描いた話。誰もが知っているナンバーが幾つもあり、なるほど、演奏シーンはテンションが上がらずにはいられない。特に、最後のフランキーの歌、エンディングと共に歌い踊るシーンは、こっちまで歌いたくなる。
しかし、それらの演奏シーン以外の部分に不満が残る。例えば、娘とフランキーとの関係の描写。最後の歌のシーンがやりたいがために、とってつけた様に映った。あの歌を歌っているフランキーは娘を思って歌っているはず。しかし、彼らの親子関係の描写が弱い為に、歌の素晴らしさ以上にフランキーに感情移入出来ない。
ミリオンダラーベイビーやグラントリノなど、彼の作品は人間描写が非常に優れていると思う。
ストーリーの展開はテンポがよく次々と何かが起こるが、しかし、まるでバイオグラフィーの様に、ただ知られざる事実を描いている様。いや、グループ崩壊が始まるまではこの感じでもいい。彼らの栄光の道が非常にテンポ良く描かれていた。しかし、そこからがイーストウッドの腕の見せ所ではないか。挫折や崩壊の部分を彼の鋭い人間描写で描くことで、より物語が深いものになったのではないか。
アニーホールの様に、カメラに語りかける手法は確かに面白い。ただ、その多用、特に最後にメンバーそれぞれが2周もかけて、映画の説明不足を補う様に語るシーンは、さすがにやりすぎではないかと感じた。
上映時間は134分。演奏シーンをふんだんに詰め込んだ為に人間描写が希薄になるなら、別のバランスの取り方があったのでは。
しかし、この映画は大ヒットミュージカルが元。仕方ないのかな。
ただ、クリストファー・ウォーケンのダンス姿が見られたので、まぁいいか(笑)
P.S.脚本書いた人、アニーホール書いてたのか
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