TaroYamada

ジャージー・ボーイズのTaroYamadaのレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
4.0
ブロードウェイミュージカルの映画化、舞台の良さも失う事なく映像化した上に更に上積みが成されている、素晴らしい作品

ミュージカル映画に有りがちな、
《楽曲に時間を割かれる事でドラマ部分が少なくなると、語られる内容が少なくなり、自ずとストーリーが薄まってしまう》
といった事を感じる事は無く、楽曲の素晴らしさと充実したストーリー展開を両方楽しめる

実話に基づくストーリーだけに説明が必要な事柄も数多いが、舞台でも用いられていた演出を本作でも展開していく事により、上手く交通整理が為されて分かりやすく、それでいてユニークな作品として見入ってしまう
これだけ劇中で”第四の壁”が破られているのを見る映画はなかなか無い、禁じ手、悪く言えば制作者の作為が見える瞬間だけに余りやり続ける事は稀だと思うが、最初に感じる違和感も次第に消え去る

聞いた事はある曲ばかりだけど、フォー・シーズンズの事は余り知らない、ニュージャージーで育ち、随分悪い事にも手を染めて、マフィアとも関係を持ちながらも音楽をやっている
ビンセント・ピアッツァ扮するトミー・デビートが語りかける、「故郷を出て行くには、①軍隊に入る→結局死ぬ②マフィアに入る→結局死ぬ③有名になる」この言葉は現代とは程度の差こそ有れ、地方から都会に出て行く願望と覚悟の兼ね合いがよく現れていると感じた

ラスト近く、ジョン=ロイド・ヤング扮する主人公フランキー・ヴァリが失意の中”Can't take my eyes off you”を発表するシーン、そしてオーラスの大団円に言葉は要らない、演劇的カタルシスも映画の醍醐味も全てがそこに込もっている
そして、2時間のドラマがあってそこへ繋がっていくので非常に大きな満足感を得られる事が出来る

まだまだ見所は満載なのだが…
①クリストファー・ウォーケン扮する”ジップ”・デ・カルロの存在感、怪演
②イーストウッド作品ではお馴染み、トム・スターンの撮影、あえて綺麗に発色させずモノトーンのカラー撮影としたのは50〜70年代の時代性や作品のトーンとも相まって非常に良い
③レビューや宣伝でも語られれている、クリント・イーストウッド監督のカメオ出演、よーく見てないと見逃しますから要注意です

今週封切なのでまだ大きなスクリーンを設置した箱で見られる筈なので、ぜひ大きいスクリーンで満喫して貰いたい