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ジャッジ 裁かれる判事のCOZY922のレビュー・感想・評価

ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)
4.4
アメリカの田舎町で数々の裁判を担当してきた判事の父と、絶縁状態にあるやり手弁護士の息子。父に殺人容疑がかけられたことから息子が弁護を担当することに。観るまではガッツリの法廷モノかと思っていましたが、裁判や法廷はあくまでも舞台で、内容は父と息子それぞれの揺れ動く思いや絆を描いた濃いヒューマンドラマでした。

ロバート・ダウニーJr.とロバート・デュバルの演技が素晴らしく、見応えがあってとても惹き込まれました。目線やちょっとした顔面の動き、醸し出す雰囲気などにその時々の心情がよく表れていて容易に物語の中に入っていけました。

反抗してばかりいるけど本当は父に認めてもらいたくて その気持ちが空回りし ますます家族との距離を作ってしまうハンクと、息子を愛している故に厳し過ぎる態度を取ったり拒絶したりしてしまう父は、頑固で意固地なところがそっくり。バスルームでのシーンと、父子の確執の背景にあった出来事が明らかになり裁判で父が息子への思いを吐露するシーンは特に胸に刺さりました。判事や弁護士もやっぱり人の子。良いことだとは思わないけれど、法律をよりどころとしていても情にほだされることもあるのだと思います。

素直に気持ちをぶつけられない不器用な父子愛。ありがちな話なのに古臭さを感じないのは、法廷要素をスパイス的に実に上手く取り入れていることと役者の力量によるところが大きいと思いました。父と息子の思いの余韻がまるで画面に立ち込めるかのような終わりかたも好きです。
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