センゾー師匠

ジャッジ 裁かれる判事のセンゾー師匠のネタバレレビュー・内容・結末

ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

キャスティング大成功。メインのロバートダウニーjr. とロバート デュバルの演技が最高に良い。ホントに上手い。兄弟役の二人や地元の弁護士もはまり役。検事役でビリーボブ ソーントンも出てて豪華。

地元の名士で長年判事を勤める父親に反発しながら育ったハンク パーマー。大都会のシカゴで剛腕弁護士として大成功を収めているが、妻の浮気で離婚間近。ある日、母親が急逝し、ずっと帰っていなかった実家に帰ることに。

父親は相変わらず、地元で愛される判事。ハンクを含めた兄弟たちも父親をjudge(判事)と呼んでいる。兄弟仲は悪くない。プロになっていたかもしれない程、野球の才能に恵まれていたが、怪我で夢を断念した兄と知恵遅れの弟。

母親の葬儀のあった夜、父親がある男性をひき逃げしたと知らせを受け弁護することになったハンク。父親は事件当時の記憶がない。被害者は父親が刑務所に送り、出所したばかりのロクでなし。もともと、恋人を脅した時点で厳しい刑を与えるべきだったが、泣いて弁解する男を信じて甘い刑を言い渡すと、すぐに恋人を殺害し、20年刑務所を言い渡した。

いわゆる法廷モノというよりは、親子の関係を丁寧に描いた物語。

父親に反発してたけれど、本当は誰よりも彼に認めてもらいたかったハンク。

名門大学を首席で卒業したのに卒業式に来なかった父、交通事故を起こして、本当は庇って欲しかったのに、少年刑務所に自分を送り込んだ父。自慢の息子は長男で、ほっとけなくて守られているのは三男。自分は誰よりも成功してるはずなのに満たされない。ロバート ダウニー Jr. が上手いので、説得力がある。

対してロバート デュバル演じる父親も、愛するがゆえ、厳しくしてしまう不器用なタイプ。ハンクの起こした事故のせいで、兄が野球を諦めることになってあえて一番厳しい少年刑務所に送り込んだのは、長男と次男の関係を壊さないように、あえて厳しい刑にしたんじゃないだろうか?
三男のフィルム上映会でお兄ちゃんの事故現場が映っていたら止めろと怒り出したのも、ハンクが責められるような気分になるのを止めるつもりだったのでは?

裁判での証言で父である判事が最初、被害者の男に甘い判決を下したのは、彼とハンクがダブったからと知る。本当は甘やかしてあげたかった、けれどできない。そんな気持ちが彼の判断を鈍らせてしまった。法廷でやっと父の気持ちを知るハンク。

判決では第1級殺人は無罪だが故殺では4年の刑を言い渡される。(記憶がないのは末期ガンでの治療の副作用)
7ヵ月後、恩赦で出所した父を迎えに行ったハンクが、子ども時代の父との楽しい思い出だった釣りに行き、父に最高の弁護士はお前だ。とつげられる。そしてボートで静かに息を引き取る。