フィルモワ

フランシス・ハのフィルモワのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
4.5
久しぶりの再見。
なんだろう、シンプルなろうそくの火がツン、と一本立ってるような、ちいさな希望がともる。

モノクロの効果もあって、現代アメリカなのに50's仏映画の空気をまとっているのが新鮮。ベンジーとレヴと三人でいる時の佇まいは「はなればなれに」だし、ATMに走るテーマは「大人は判ってくれない」。西海岸よりパリを志向するニューヨーカー。

とにかくフランシスが愛しいよ。
相手のジョークを受け取る時差があったり、しゃべってる内に「ああ何話してるんだろう自分」と実はパニックになってたり、ピンチなのにそれを隠したり。

レンタル倉庫に入りきらない椅子や、文字のあふれた表札はつくづく"didn't fit in"な彼女なんだよね。でもそれをあるがまま認めて活かせるフランシスは、きっと絶対大丈夫。

基本的にはペシミスティックで、人間の醜いところをよく見てるノア・バームバックが、ほんのひと筋見せてくれる光がやっぱり好きだな。