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瞳の中の訪問者のmgcのレビュー・感想・評価

瞳の中の訪問者(1977年製作の映画)
3.6
この作品はBJを理解していない。酷い出来。という評を見かけがちだが、大林監督自身は手塚漫画に影響を受けて自信も漫画を描いていたことをこ公言しているファンであり、下記のように考え込まれたテーマを内包している。

【手塚漫画のキャラクターが多数登場】
世間の手塚漫画ブームが落ち着いた頃、編集者に「往年のキャラを使って読切を」と依頼されて描かれたのがBJ。この映画にもおむかえでごんす、三つ目がとおる、アセチレンランプ、ハムエッグらがゲスト登場する。

【ヒョウタンツギこそがこの映画の主役】
大林監督の解釈として原作の主人公はBJではなく、患者ということ。この映画もその通り、患者を中心に話が進むが、更にその境地を通り越して、ヒョウタンツギが真の主役だという。
手塚漫画におけるヒョウタンツギの存在は内容が過剰に性的に、またはヒューマニズムを見せた際、少年誌という媒体であることを手塚自身が再度自覚し、表現を緩和するために登場する。というのが大林監督の解釈。これを映画にも落とし込みたいと、劇中で危険なムードが最高潮を迎えた時にはヒョウタンツギが登場する。

ほか、BJとピノコの不能者同士の愛。監督自身の永遠のテーマである、かつて愛した者の面影が再び現れる「さびしんぼう」展開も込められている。

...だからといって良い出来ではないよね、って事は監督も認めており、手塚眞氏にはオヤジ怒ってたよ。と言われる始末。
しかし宍戸錠の怪演、志保美悦子のアクションを封印して俳優に徹する挑戦、片平なぎさの初主演作として、一見の価値あり。
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