かさい

ニンフォマニアック Vol.1のかさいのネタバレレビュー・内容・結末

ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画や小説、特に昔話に登場する老人は、豊かな人生経験と知識で主人公を正しい方向に導く役割を担うことが多々ある。ユングはこういった老人を「老賢人:オールドワイズマン」と名づけている。
「ハリー・ポッター」シリーズのダンブルドアや、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドクなどはまさに老賢人である。
作中で主人公の話を聞く初老の男性は、釣りやポー、バッハについての豊かな知識を織り交ぜながら会話と物語を進めていく。まさに老賢人!と、言いたいところだが、よくよく話の内容を確認すると話が薄っぺらい。Wikipediaに載っている内容と大差ない。会話は往々にして噛み合わず、伝えたいことがいまいち分からず、ただただ知識を披露するだけになっている。こいつ、偽老賢人だ。
しかしこの男性、自身が老賢人として主人公を導かなければならないという自負はある。自負はあるけど実力が伴わない。そのため自分の知識をただただ相手に押しつけるだけになってしまう。セックスのピストン回数を聞いて「フィボナッチ数列だ」と言うあたりはまさに偽老賢人だ。
フォン・トリアーらしい、設定に悪意のある登場人物が後半でどうなるか楽しみ。
かさい

かさい