COZY922

ソロモンの偽証 後篇・裁判のCOZY922のレビュー・感想・評価

3.5
” 心にフタをすれば見たいもの感じたいものしか見えない ”
物語のメッセージが凝縮されたひと言でした。ネットでは前篇より失速したとか薄っぺらいという酷評が飛び交っていたけど私はなかなかの出来だと思いました。

個人差はあれど大人になるとみんな良くも悪くも処世術を身に付けていくのが普通で、例えば、時間を費やしても社会的結論や公式見解が変わらないと思うことには自分の時間を積極的に費やさない。それは世知辛い世の中で自分の体力や精神を消耗しないための術として、決して悪いこととは思わないけれど、その処世術が真実にもフタをして闇に葬ってしまうことがある。そういうことへの警鐘や真実に向き合うことの重みを感じました。それらはとても子供っぽい理想論と紙一重の部分もあるけれど、すべてをそういう一言で片付けてしまうのも危険ではないかと思います。

前半の展開からサスペンスを期待してしまいがちですが、そうではないので、サスペンスを期待していくと肩透かしを食らった気持ちになるのかもしれません。風刺や皮肉もはらんだガッツリなヒューマンドラマです。イタタという感じの演技も無くはないけど、中学生達は総じて力演だったと思います。前篇では藤野涼子ちゃんに、後篇では神原君役の子に将来のポテンシャルを感じました。原作を読んでみたくなりました。
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