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誘拐の掟のフクのレビュー・感想・評価

誘拐の掟(2014年製作の映画)
4.5
ローレンス・ブロックのミステリー小説"酔いどれ探偵"マット・スカダー・シリーズの映画化作品。
"酔いどれ"とは言っても主人公が酔っているのは、10作以上出ているシリーズの中でも第1作目だけで、2作目以降は酒をやめている、という所が味噌。
日本でもここ最近は「アルコール依存症」として知られるようになったが、そういう病気だと自覚している人たちが集う回復の為のグループに主人公が定期的に通い回復に努めているという点が物語の縦軸としてある。
このシリーズの第1作「800万の死にざま」は'86年にハル・アシュビーが映画化しており、これも忘れ難い秀作であったが、スコット・フランク監督による本作はそれ以上にクライム・ミステリーとして完成度の高い作品であった。
主人公マットの相棒TJとの出会いや、過去と現在を巧みに観客に知らしめつつコンパクトなエンターテインメントに仕上げる演出の妙に唸らされた。
それほどメジャー感がなく地味な印象を与える外観ではあるものの、観て良かったと心から思える作品。
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