COZY922

ジョン・ウィックのCOZY922のレビュー・感想・評価

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)
3.9
マトリックス以来の華麗なる 怒涛のアクションシーンに、まずは『キアヌ、おかえりなさい』と言いたい気持ちになった。

鮮やかな復活劇、年を経ても変わらないオーラ、漂う孤独感。妻を亡くし妻からの最後の贈り物の子犬を殺され、5年のブランクを経て裏社会に戻ってきたジョン・ウィックとキアヌ本人がかぶって見える。まさにキアヌのための映画。子犬がまたいい。妻に先立たれたジョンの虚無感、孤独、愛情を注げる対象にそばにいてほしい気持ち、微かな希望とそれをまた粉々に砕かれて糸がプツリと切れた様子。子犬の存在が、短い時間でこれらを実に端的に語る。わんこを見つめるヒゲづらキアヌの目も わんこのよう。

そして一番の見どころはやっぱりスーツ姿で戦うジョン・ウィックの、マフィアのボスまでが震え上がる無双っぷり。同じくスーツ姿で戦うキングスマンの戦いぶりが、ダンスのステップを踏むかのように流麗で 音楽の旋律を可視化したような印象なのに対して、ジョン・ウィックのそれは、より野性味がありネコ科の肉食獣が獲物を狩るのに似ている。

単独で狩りをするヒョウやジャガーなどが、強力な鉤爪で相手をグリップし自分の方に引き寄せて、鋭い犬歯で獲物の喉元や鼻口部にガブリと食いつき窒息死させるキリングバイト(killing bite) 。今作の戦い方はガンアクション+カンフーでガン・フーと呼ばれるらしいが、接近戦から 頭部に撃ち込んでとどめを刺したり首の骨をへし折る様子が、私には野性の肉食獣のkilling biteに見えた。

息の詰まるようなシーンばかりでなく、随所にいい意味で漫画チックなやりとりが散りばめられているのも、箸休め効果があって いい。『ディナーの予約を』が、血が飛び散り死体がころがる現場の後始末の依頼なのにはニヤリとしてしまった( ̄▽ ̄)。

そして、わんこに始まった戦いはわんこに終わる。。続編が決まっているとのことで、今から楽しみだ。
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