親戚の子どもなんかを見ていると、子どもっていうのはいつの間にか大きくなっていって成長している。そういう成長の変遷っていうのは、徐々に気づかないうちに起こっていって、大人になって、改めて幼少期の写真を見ると、驚くほど変わっていることがある。
本作『6才のボクが、大人になるまで。」はそんな”いつの間にか成長している子ども”を表現するため、12年間もの歳月の間、家族4人を同じキャストで演じるという稀有な作品だ。
ストーリー自体は、あくまでアメリカにいる一家族の物語。離婚だとか、家族の仲違い、子どもの反抗期などがあるものの、それはどこにでもある一つの”普通”の家族を淡々と描いているため、それほど大きな出来事があるわけじゃない。
でも、だからこそ、どんな年代であれ、どこかに共感できる部分が作品のいたるところに存在している。子どもだったら突然の引越しに胸を痛めるかもしれない。離婚をしている人だったらメイソンの母であるオリヴィアの気持ちを痛いほど知っているだろうし、10代後半や20代だったら青年になったメイソンの恋心に共感できるだろう。
そんな家族に起きる小さいけれど、誰もがそこに共感できる家族の問題を、12年間の歳月を持って描いたこの映画はかなりの傑作だろう。