sanchang

アメリカン・スリープオーバーのsanchangのレビュー・感想・評価

4.7
サイコーでした。これこそ青春映画の大傑作。若者の一夜を描いた「アメリカングラフィティ」をベースに、現代の4人の恋物語を描く群像劇。
すべてのシーンが夏休み最後の日の儚さや瑞々しさをビビッドに描いていて、いつか経験したかもしれないあの時を追体験させてくれる。

一晩中美女を追い掛け街を探し回る童貞男子、女の子同士の男の取り合い、夏の終わりに一つの恋に憧れる女の子、女々しい大学生の男。これら4つの物語が同時進行する。言葉にするとチープだけれども、時代性を語らず、子供たちなのに決して欲望のままに動かない恋の甘酸っぱさをそれこそファンタジックに、神話のように描いた点が、この映画の価値だと思う。
この映画にでてくる若者たちは高校生そこらばかりなのだが、全員がとても思慮深く、欲望に任せない。こんなガキどもがそんな大人なわけないやんというツッコミを入れようと思えばいれれる、けれど、このデトロイト近郊での一夜の群像劇は、それこそ虚実のはざまに漂う若者たちの夢の一種なのだと思う。

昨年に続き、2回目の鑑賞だが、ソフト化されていないのが辛すぎるので早くしてほしい。夏の最も大事な一本。
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