コウ

花宵道中のコウのレビュー・感想・評価

花宵道中(2014年製作の映画)
3.5
劇場視聴

原作が大好きなので、公開前からとても楽しみにしていました。
それ故に期待し過ぎていたのか、全体的に少し物足りなさを感じてしまいました。ストーリーも変更されている部分も結構ありました。
しかしそれは映画なので原作未読の方にも優しい設定といいますか、短時間で繋がるように纏めたんだなという印象です。

安達祐実さんの演技は、公開前から話題になっていただけあって捨て身で演じているのがすごく伝わってきて衝撃的でした。
濡れ場はもちろんですが、花魁道中のシーンはとても美しかったですし、何より私は終盤で独り悲しみに打ちひしがれて泣くシーンが本当に素晴らしかったと思います。女優安達祐実の実力を思い知らされました。

そして津田寛治さん、もうあの演技が出来るのは津田さんしかいないだろうと思わせる程の怪演っぷりが素晴らしい。見事に吉田屋を演じていました。

『花宵道中』なので描写はなくて当たり前かもしれませんが、個人的には、霧里と半次郎の関係性と過去があったからこその吉田屋事件、というのがとても需要だと思っているので、あのような感じで事件が起こるならもう少し半次郎の過去が垣間見えるシーンがあってもよかったのになぁと感じました。
うーん、でも主役はあくまで朝霧なのであれはあれでいいのかな。そのあたりはぜひ原作未読の方には映画だけでなく小説も読んでいただきたいと思う点ですね。

それから私は遊女の中では八津が一番好きなのですが、設定がかなり原作と違う印象を受けて正直がっかりしました。原作の八津は、何も知らないが故に朝霧に対して発する言葉が朝霧を追い詰めていたりするのですが、映画の八津は分かっていて責めているような節があり。

と、原作愛故にとにかく良くも悪くも比べてしまうのを否めないので、純粋に映画だけを視聴された方の感想も気になるところです。
(と思ったらなかなか厳しい評価のようですね 苦笑)

安達祐実さんの演技と女優魂をプラスしての評価です。
コウ

コウ