takeman75

きっと、星のせいじゃない。のtakeman75のレビュー・感想・評価

3.5
「凝縮」された人生を歩まざるを得ない自分たちの運命を受け入れ、それを精いっぱいの「強がり」と、ドライなユーモアで乗り切ろうとする、若い男女の瑞々しい恋の行方と切ない「別れ」を描いた感動作。まあ正直、この手の瑞々しい恋愛から1万光年くらい離れた身には、さすがに眩し過ぎてまともに目を空けていられない気分にもなったりしたのだが、主演ふたりの嫌味のない爽やかな交流と並行して描かれる、綺麗事では済まされない「死」、そして世の中は決して「善人」ばかりでは構成されてなどいないという「現実」を真摯に見つめた視点に、本作の作り手達の誠意が伝わって来る。中盤の明らかに「リトル・ロマンス」の名場面を意識したと思わしきゴンドラでの川下りなど、おじさん達の渇いた心を潤す素敵なシークエンスも満載だが、さすがに終盤、それまで懸命にユーモアの壁で抑えてきたウェットな感情が一気に放流されてしまうのは、展開上致し方ないとは言え、もう一歩こらえて欲しかったと思うところ。ちなみに主役の男の子を演じたアンセル・エルゴート君、どこかマイケル・セラを思わせる佇まいと演技で良い味出してると思ったら、次回作はエドガー・ライト監督の新作との事。うん、何か分かる感じがするなあ。
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