このレビューはネタバレを含みます
美女と野獣の実写化ですが、ディズニー版とは完全に別物です。
“ある王様が魔法で野獣になり、ベルという女性がその魔法をとく”
被っているのはこの部分だけでした。
「原作に忠実に実写化」ってのが嫌いな自分としては、面白ければ大抵の事は全然受け入れられるのですがこの作品、映像以外全く中身がなかったです。
父親の命と引き換えに野獣の城についたベルが、ポツンと置いてあったドレスをサラッと着た時点で「え?何で?」と先行きが不安になったのですが、こんなのはまだ良いほうでした。
この美女と野獣、突っ込み所がとにかく多い上に行間を読まなければいけない展開もまぁ多かったんですよ。
ベルが野獣を怖がらなくなった(結構な口答えまで出来るようになる)理由も分からなければ、野獣を愛するようになった理由も全く分からず、とにかく主人公であるベルというキャラクターが情緒不安定のファザコン娘にしか見えませんでした。(父と娘の顔の距離も近すぎませんか?この親子出来てる!!って思いましたよ)
「俺を愛してくれるか?」と聞いた野獣に対して突然「私もうこんな暮らし耐えられないのよ!」とヒステリックになるシーンも「いやお前言うほど何もされてないじゃん」と妙に冷ややか~な目で見てしまったり。
父親の為に自らを犠牲にしようとしたベルを助けに行かないだけでなく、セレブな暮らししか望んでいない彼女の家族と長男に金を貸していた町のゴロツキ共など、登場人物も総じてクズばっかりで野獣も野獣でちょいストーカー気質入ってたり、好きなキャラクターがここまで居なかった作品も珍しかったです。
「森の神様よ!」→「雲じゃん」とか
傷が治る泉に矢がささったまま野獣を投げ入れて「傷が治らない!!」
とか
動く石像には銃が効く→2体出てきたら何故か何もせず逃げるとか
本当疑問点挙げだしたらキリないので、そこを語り合いたくなる作品ではあるかもしれないですね。
あとビーグルの作った人形。
ベルは「素敵なプレゼント」って喜んでたけど呪いの藁人形っぽくて怖かったの俺だけですかね。
ラストの笑う石像も全然微笑ましくならなかったんですよね。
そして何と言っても納得出来なかったのがベルが野獣の状態の王様とはキスしてない所!
野獣になった理由が違うとは言え、そこは美女と野獣のキモの部分だと思うんだけどなぁ…。