ドラゴンの唐揚げ

楽園追放 - Expelled from Paradise -のドラゴンの唐揚げのレビュー・感想・評価

5.0
二回目の鑑賞でしたが、やはり素晴らしいですね、楽園追放。手描きにしか見えないフルCG。ハイセンスのバトルシーン。短いながらもわかりやすく簡潔に、しかし深いテーマを盛り込んだシナリオ。2時間弱があっという間でした。
人類の大半が肉体を捨てて意識だけの存在として仮想空間を生きている、そんな世界で捜査官をしている主人公、アンジェラ。ある日、その仮想空間に外部からのハッキングが観測され、アンジェラは原因排除のため捜査官として人類が捨て去った星、地球へと赴くのだが……。
直接物語とは関係ないんですが、メイキング映像を見て面白いと思った点を適当にまとめました。
本作は全編がフルCGで描かれています。しかし、CGアニメでありながらその表現をセル画、いわゆる今の一般的なアニメで使われている手書きの表現に近づけようという試みが行われたというところに特徴があります。実際、手書きにしか見えないようなシーンがあり、物凄く見応えのある映像作品になっています。というのも、セル画のアニメはキャラクターが止まっていても違和感が無いのに対してCGの場合、キャラクターが静止していると違和感が出てきてしまう。逆に意識して動かすと誇張されて大げさになってしまう。それは、セル画の場合、キャラクターの佇まいがしっかり描かれているから、止めても違和感がない。停止に耐えられる質がある。一方でCGはそれに耐えられない事が多い。(その理由を愚考してみたんですが、おそらくCGはセル画のようにアニメーターの方が頭の中にあるものを直接出力できるわけではなく、モデルを動かして表現し、イメージに近づけるという間接的なアプローチになるので佇まいを上手く表現するのが難しいのではないかと……。)
しかし、その点を楽園追放では感じさせない。CGでありながら、佇まいがしっかりしている。CGなのに、セル画に見える。しかもセル画並みの佇まいの美しさに加え、質感やディティールはCGにしか表現できないモノで……もう、CGと手描きのいいとこ取りみたいな作品になっております。
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