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処刑島 みな殺しの女たちのユーのネタバレレビュー・内容・結末

処刑島 みな殺しの女たち(2012年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

 設定は、ありがちながらもそうはいっても面白く、緊迫感もそこそこ高く見ごたえはあった。が、どうしてもストーリーで不完全燃焼。
 サラ役のケイト・ボズワースが演者の中では唯一そこそこ聞いた名で、容姿も一番端麗な感じで、主役で生き残るのかと思いきや女性のうち唯一の犠牲者?になるとは・・・スタッフロールで見るとどうも一番トラブルメーカー的で性格は共感できなかった女子であるアビー役のケイティが主役で制作の方にも携わっているみたいね。。その筋書き自体は意表を突かれアリでもあったが、曖昧なストーリーの多い日本映画に比して勧善懲悪の傾向がはっきりしてる米映画としてはイレギュラーなものと言えよう。  
 だが精神的にヒステリックで自暴自棄気味で男を誘惑し、ある意味本事件の元凶を作り出したとも言えるアビーが主役で途中から人が変わったようにしっかりし先導役になって格好良く描写するってのはどうも共感し兼ねる。。おそらく、ザ・白人ブロンド美女で、不貞にも厳格で普段から口うるさく友人関係の修復にもお節介をやく典型的なヒーロータイプのサラがいざ危機に瀕したらパニくって真っ先に犠牲になるという米国の従来型主流価値観への批判的・揶揄的表現なのだろうが、にしても流石に突飛で共感できない。最初に男達と出会った後から会食の席に至るまでサラとルーは常に危機感を覚え会話にも相手を刺激しないよう注意を払い、幼少の関係性を出したりして極力トラブらないよう気を遣っている様子はよく分かったが、にも関わらずアビーは危機感無く接していてここも事件を招く問題児であった。
 しかも、ボートへの脱出シーンの砂浜の所でサラはパニック起こしていたかのようで実は一番冷静に状況判断できており「悪い予感」というのも当たっていて判断は最も的確であった。。なのに真っ先にかつ唯一の犠牲者になるとは、、反勧善懲悪的で個人的には納得できない。そして、最後に銃撃され恐らく亡くなったであろう描写はなされたがそれっきりで、残った2人はよく死亡確認をしない中でサラは死んだものとして話は進行し、結局最後も死体の描写も一切無く結果がはっきりせず不完全燃焼過ぎる。幼馴染み3人の女子の友情が重大テーマの1つだった様に思うが、なのにサラに関して最後の方では2人の話題にすら上がらず亡骸も不明でこの程度の扱いとは・・最初仲悪かった2人が仲直りし生還したからめでたし・めでたしとはならんだろうに。。結局は女性的マウント返しの様な意図も感ずる。
 他にも細かいとこでは、腹を棒でも思いっ切り刺されてあれで済むか・・とか大型ボートも沖に離れてた感じだがどうやってあのケガでそこまで行けたとか、何気に普通に大型ボートも運転できてるし・・とか引っかかる部分もあるが・・ま、揚げ足になるので程程に。ただ、軍人なのに弱すぎ、といったコメがあるが、そこは別に違和感無いというか、軍人でもピンキリであるし弱い奴は弱い、不名誉除隊したような時点で既にロクでも無い連中という事は判断できるだろう。かつ普通に武器も有って力的にも負けるはず無いと思い油断した野郎どもが命がけで必死に戦う女性にいざ戦って負けるという事は別におかしな話でもないだろう。日本の戦国史でもそういった慢心が仇となって軍勢に関係なく敗北した例はある。とにかくストーリー的に符に落ちない面は多々あるが、設定は面白く中々見所も有ったという映画。
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