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処刑島 みな殺しの女たちのOmizuのレビュー・感想・評価

処刑島 みな殺しの女たち(2012年製作の映画)
3.5
真面目に考えて作られた良作。ホラー、スリラーではあるけど、女性監督ならではの女性同士の友情を丁寧に描いた人間ドラマとしての側面がより大きい。

三宅隆太さんがおすすめしてたなぁと思って鑑賞。

監督・主演(アビー役)を務めたケイティ・アセルトンは最近では『スキャンダル』に出演するなど脇で光る演技を見せるタイプだが、この作品では主演としても魅力的。また、ケイティ・アセルトンの夫はインディーズ映画界の巨匠・デュプラス兄弟の弟であるマーク・デュプラス。彼も映画監督の他に俳優としても活躍し、同じく『スキャンダル』ではシャーリーズ・セロン演じるメーガンの夫役を演じていた。

そんなデュプラス兄弟がこの作品の脚本と製作を担当している。

まず撮影が美しく、水の流れや日が昇り海に反射するショットの美しさは惚れ惚れする。また短い中に喧嘩していた女性たちの人間関係が描かれ、極限状態で許し合う場面は少しうるっときた。

おそらくこの監督はホラーやスリラーの形を借りつつ、女性ならではの人間ドラマを描くことが主眼であったと思われる。

確かに恐怖表現やバトルシーンのぬるさは否めないものの、そこに力を入れてしまうと全体のバランスが崩れるため、このくらいでよかったと思う。

また、自ら誘ったくせに行為をされそうになると拒否して殺したのはその時点では確かにアビーも悪いのではと思うが、そのあと兵士の二人が完全に狂っていることを示すことでうやむやにしてる感は正直ある。そこはもう一捻り欲しかった。
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