久しぶりにこんな良い映画観た。心に響く。音楽、家族、解放、そして真の愛を問うている。「金を巻き上げるなら列に並べ」は名言だな。お金持ちと付き合う女性の心の葛藤を描き切っている。私は搾取してるのかしら？って一回離れる、向こうから来たらまた戻るっていう。
ドアを開けろ！に対して勇敢に姿を見せるところが良い、名シーン。そして生身の女性を目の前にしたら何も言えない医師。確かに元モデルで普通の人よりは甘い汁啜ってきた人生かもしれないけど、今は一介の車売り。そんな普通の女性が愛の為に闘う。ちょっと違うかもだけど、ピアニストを撃てをほんのり想いだす。
父親が死んだ後、父性的なものからの承認を血の繋がらない他者に求めたんだね。盲目的なファンじゃなくて、厳しい人から愛されたかったんだ。ポール・ダノの演技が最高。聴覚過敏のシーンと、マイクに「失望した」って言われる時の顔。病気が認知されない時代だったかもだけど、その分、対等だったよね。対等だから、怒りをぶつけ合える。家族に愛される為に音楽を作ってるのに、失望したって言われちゃって。でもその甘くなさも良い。愛は容易に得られるものじゃない。心を流行りに合わせて作り替えることなんて無理だ。だから、その時の自分で生きていくしかない。
