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フューリーのohshimaのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
4.5
必要以上の美化もなくかと言ってことさら残虐さを押し出す訳でもなく、ただそこにあるべきものをあるものとして描く、結果として極めて凄惨な戦場。
ここで監督の経歴を持ち出すのは野暮を通り越して危険、ですが、往年のポールバーホーベンに近いものを感じます。「善悪の彼岸」の景色が徹頭徹尾貫かれています。
主人公のキャラクターが極めて秀逸です。戦車という密室の中で極めて高い緊張を伴い醸成された人間関係への移入も、新兵である彼の目を通せばスムーズです。同時に彼が戦場の現実に戸惑う度に、どこかで苛立ちを感じてしまう自分に気づきます。物語に絡め取られ異常な思考に飲まれる自分に気付かされ、その度に罪悪感とそれでも圧倒的な魅力を放つ戦車の、兵器の魅力との間に板挾みになる快楽。
ちなみに、これを成長譚とか言ってる人、頭大丈夫ですか? 心配になります。
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