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チョンおばさんのクニのmhのレビュー・感想・評価

チョンおばさんのクニ(2000年製作の映画)
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中国に連れてこられまま終戦を迎えて、故郷の韓国に戻ることができなかったとある従軍慰安婦の戦後50年の時点のドキュメンタリー。
当初の企画は、日本に謝罪・賠償を求めていくジャーナリズムの一端を担ったものだと思われるが、その後の転がりがすばらしく、ラストはとんでもないところまで連れて行ってくれた。ドキュメンタリーはこれがあるから鑑賞をやめられない。
・道路が舗装されていないような中国の田舎。
・支援団体の力を借りて韓国に戻れることなる。
・帰国準備で発覚した末期ガン。
・親戚一同、村人総出で見送ってれる。ないてる孫にお金渡すおばあちゃんと、お金いらないと泣いてる孫微笑ましい。
・ちょっと怪しい(と、監督も思ってそうな)ナムヌの家まわりの反日運動。
・やっぱり帰りたいとのことで再取材。
・教会に一室で、衰弱している様子。
・逝去はテキストベース。
・遺骨返還についての騒動。(の決着がつかずにエンディング)
・DVDにはその後の様子(ようやく遺骨がもどった)がついてくる。
これらを全部やってくれる。
おばあちゃんのロードムービーとしても優秀だし、遺骨についてのあれこれも些細だが重大な問題として扱うので、結果的にそれが、従軍慰安婦問題についても語っているような気がして余韻が重厚。
このおばあちゃんは中間業者が入った(いわゆる売られた)上での慰安婦だった。映画でいえば「独立愚連隊」に登場していた娼婦のみなさんと同じ感じかな? あのひとたちのその後がこれか。
従軍慰安婦問題まわりなので、もちろん、イデオロギーありきの企画なんだろうけど、それを感じさせない素晴らしいドキュメンタリーにしあがっていた。
面白かった!

メモ
同じ監督の第一作とのことで「ガイサンシーとその姉妹たち」に併録されてる。
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