朔

0.5ミリの朔のレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
4.1
嘘でも偽りでもなんでもいいけど身体のどこかに愛を潜ませて生きるべきなのだなと。
上下、または左右のシンメトリーのショットが今彼女は人生において進んでいるのかいないのかわからなくなる構成だと思った。
人との距離感というのは相手ごとに異なるもので、いくら自分がたいせつに思っていてもやっぱり対人間だとゼロ距離ってわけにはいかないし、難しい。
人間と人間が関わって生きていく、そんなこと生まれた時から何の気なしにやっていて、今もこれからも継続していくものなのに、改めて外から見るとこんなに困難なことをわたしたちはやっているのか。
そりゃどこかがゆがんだり軋轢が生じたりするよなあと。今まで決定的なそれに出会わず生きているだけなのか。幸せものだ。


めんどくさそうなカラオケ店員東出はサイコー。あれしか出てないのに結局覚えてるし。
安藤サクラ、佇まいが美しいなあいつ見ても。彼女ほど染まって演技をしている女優を知らない…。
津川雅彦おじいちゃん、いつまでも生きていてほしいなまじで…
3h17m、余すことなく映画でそれをしかと見つめている観客。上映中は同じものを見ているのにエンドロールが終わればそれぞれの距離感で生きていく。そんな当たり前な映画というものを久々に体感できた作品。素晴らしい「ひょんなことから」映画。
2014.12.7
朔