今回は全くネタバレをしたくないので、ストーリーは書きません。主な登場人物(前半30分まででわかる事)を。
舞台はハリウッド。
アガサ(ミア・ワシコウスカ) 顔に火傷をおった女性。ハリウッドに来て、ハバナの秘書てか使い走りとなる。
ハバナ・セグラン(ジュリアン・ムーア) カルト的人気をほこる女優クラリスを母に持つ、若干落ちぶれた中年女優。母から虐待された傷をおい、焼死した母が主演した映画のリメイクに出演しようと必死。母の亡霊に惑わされる。
スタッフォード・ワイズ(ジョン・キューザック) セレブ御用達のセラピスト。ハバナも彼の患者。テレビにも出ていて、この一家もセレブ。
ベンジー・ワイス(エヴァン・バート) スタッフォードの息子で子役アイドル。薬物問題を抱えている。売名行為で病気のファンの慰問に訪れ、その子が死んでから彼女の幽霊を見る。
ジェローム(ロバート・パティンソン) リムジンタクシー運転手。売れない脚本家かつ俳優。アガサを乗せたことから、彼女と交流を持つ。
クローネンバーグといえば、プリンス・オブ・ホラーとして名高い鬼才。
過去作では「肉体」というものに焦点をあて、その変貌や破壊をえがいてきました。かなり特殊な方法で。異常といえるほどの醜悪かつ異様。そこに恐怖と社会風刺、内面の悪を交え、毎回賛否両論を巻き起こしています。
近年それは変わってきてる。「肉体」から「精神」へと。歪んだ精神。『イースタンプロミス』、『ヒストリーオブバイオレンス』で感じる淡々とあらわされる恐怖、人間の闇。
今回もそれを感じた。で、また「肉体」の見た目へと少し戻ったような。今作では美と内面のギャップとしての「肉体」。
ハリウッドの嫉妬・欲望・闇というものに対して、さすが非ハリウッド監督の鬼才‼ガッツリとえぐっています。
ジュリアン・ムーアは正しくハリウッドの汚さ醜さの象徴。滲みだらけの肌、アガサの前でトイレのドアあけておならしながら便秘の話(ここまでやったジュリアン・ムーアに拍手)、嫉妬。
火傷跡のあるアガサを雇ったのも母への執着からで、後半の醜さは半端無い。
そして、アガサ。詳しくは書かないけど、彼女の存在がこの映画の一番のポイントです。
彼女を巡って、色々あります。
題名のスターズ。この意味、最後にわかる。映画界の星ではないのです。
栄光と過去に囚われた人間の恐ろしさと悲しみ。
そして、愛…。
そして、血…。近親愛と近親憎悪とその負の連鎖…
大人なのに大人になれない人の浅はかさ。
ポール・エリュアールの詞…印象的。