最高でした。
スティーブに限らず自分でも制御できない感情に振り回されるのは私たちにも言えることだと思う。自分だって望んでそうなっているんじゃないとわかっているけれどわからなくなってしまう瞬間がある。それを全身で受け止め愛そうとする母親は強くて美しい。
グザヴィエ・ドランの作品は愛の形に正解はないのだと私たちに教えてくれる。それが側から見て奇妙だろうと気にしない。自分が心から愛し愛される人と一緒なら気にならない。彼は他者の目を気にしすぎていつの間にか閉塞されてしまった私たちの心を解き放ち、自由に表現することの権利とその素晴らしさを思い出させてくれる。
スティーブが母親にいつか自分が捨てられる時が来るのはわかっているけれどそれでも自分はいつまでも母親を一番に愛し続けるという場面が印象的で、見返りを求めないで与える愛の美しさに心打たれた。スティーブはものすごく子供なのと同時にものすごく大人。そんな彼に周りの人たちも彼の影響を受けて変わっていく。
過去なんて捨てて未来を掴み取れ、私たちはみんな死に向かって生きているのだから。周りの目なんて気にしないで今を全力で生きたいと思わせてくれる作品。
これは私の生涯の一本になります。
