ふぃーな

アメリカン・スナイパーのふぃーなのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
5.0
観終わった瞬間の悔しさと悲しさから来る興奮に心の忙しさが収まりませんでした。

クリント・イーストウッドの監督作品だからこそ、事実に沿った物語だったように思います。そして、お話しの終わらせ方、結末の落とし方が彼の作品ならでは、です。

カイルがタヤに戦場から掛けた最後の電話。”I’m ready to come home, baby.” あの時の涙は何を意味していたのだろう。
安心なのか、殺された仲間の仇を撃った嬉しさや達成感なのか、それとも戦場を離れる寂しさなのか、何なのか。私には推測の範囲を超えた気がします。そして、『アイ・イン・ザ・スカイ』で最も物語の重要なキーになっていた無人機。あれは、今回どのような意味があったのか。ただイラク戦争を象徴するものとしての表現だったのか、不思議です。

終身刑となったルースの動機は未だにわからないまま。なぜ技術を持ち、多くの人から信頼され、愛する妻から愛され、父親としても愛に溢れ、優しい彼がこのような悲しい結末で人生を終えねばならなかったのか。

9.11は確実にアメリカ人にとって思考的な大きな影響となった事件。あれは、事件という簡単な言葉で一括りにしてしまってはいけないようにも感じます。以前ニューヨークに住んでいた私は、それを感じるタイミングが度々ありました。触れてはいけないような、何とも言えないけれど、アメリカの現代史の中では切っては切り離せない出来事。イラク戦争がいいものだったのか、悪いものなのか、わからないけれど、人々の苦しみを感じます。

2時間と少しをこの映画にかける価値、観る価値は大いにあると思います。ブラッドリー・クーパーの役の幅広さにも驚かされます。
ふぃーな

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