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マナカマナ 雲上の巡礼のJeffreyのレビュー・感想・評価

マナカマナ 雲上の巡礼(2013年製作の映画)
4.0
「マナカマナ 雲上の巡礼」

本作はシアター・イメージフォーラムにて特集上映されたハーバード大学感覚民族誌学ラボ傑作選「ハント・ザ・ワールド」上映作品の一つで、2010年から2019年の間の10年間のベストテンに加えた「リヴァイアサン」で世界的注目を集めたハーバード大学感覚民族誌学ラボ制作による本作は同作のルーシァン・キャスティーヌ=テイラー監督とベレナ・パラベル監督がプロデュースした傑作である。このたび、紀伊国屋から発売されてるDVDを購入して初鑑賞したが素晴らしかった。ヒマラヤ山中にたたずむヒンドゥー教の聖地マナカマナ寺院へと向かう巡礼者たちの姿を、ネパールの大自然と共に切り取ったドキュメンタリーは息を呑むほどである。かつて巡礼者たちは3時間かけて寺院への山道を歩いたそうだが、時代は画期的な文明と入り込み、現在はケーブルカーにより10分で登れるようになったそうだ。本作では麓から寺院までの道のりをワンカットで映し、年齢も背景も様々な巡礼者たちが車内でみせる人間模様を捉えていくスタイルである。

この作品は古い習慣への賛辞ではなく、繰り返される様々な巡礼者たちの10分間のロープウェーの旅を見つめることで、私たちは年月の経過と言うものを垣間見ることができ、民族誌学と構造主義についての最も革新的な啓示である事と、浮遊するカプセルの中の人間模様、窓外に広がる大自然とが奏でる壮麗なシンフォニーを見ているかのようで素晴らしい映画である。さて、物語はネパールのジャングルの奥深く、ヒマラヤを望むヒンドゥー教の聖地マナカマナ寺院は雲上にたたずむ。巡礼者たちは、かつて3時間かけた山道を今は片道10分のロープウェイで登る。映画はその道のりをワンカットで切り取っていく…と簡単に説明するとこんな感じで、2013年ロカルノ国際映画祭現在の映画人部門金豹賞/最優秀初長編作品特別賞受賞した映画である。

冒頭のワンカットでロープウェーの中をとらえる老人と小さな子供の正面ショットの背景に広がる大自然の風景がロープウェーの上りの唯一の風景で、その後はそのまま頂上へ到着し、一瞬の暗闇の中カメラが動き回り、再度ロープウェーの中に入り、下っていく人々を捉えていく。ふたりめは赤色人種の女性が花束を手に持ち降りていく。そして次は鶏を手に持った男性と女性(夫婦?)が乗り込んでくる。ここで初めて女性側から言葉を発する(物語が25分経ってから)。そして次に乗ってくるのは女性3人である。そして次は3人のロン毛の黒いTシャツを着た若者が入ってきて、自分たちのカメラや携帯で自撮りをし始める。個人的にはこの3人がすごく印象的だった。1人は子猫を手に抱き、もう1人はデジカメで外の風景をたくさん撮っていた。左右2人は中南米風の顔つきだが中央に座っていた男性はどこかしらアジア人に見えた。

そして次に乗ってきたのがなんと人間ではなくヤギ数匹である。その後にまた1人の女性が乗り込み、次には白色人種の女性と中南米らしき女性が2人で乗り込んでくる。そして次に老婆2人が溶け始めているアイスを食べながらロープウェーの窓から風景を見ている。次に民族楽器を手に持った老人と中年の男性が乗り込み、楽器を弾きながら外の風景を見ている。そして次には現地人の夫婦と思われる年老いた男女が入ってくる。そして画面は暗闇に包まれていくその中で聞こえるのはヤギの鳴き声と機械音だけだ…。本作に登場する人々はまず冒頭は老人と孫である。その次に花束を持った女性、老夫婦(上り)、老友3人組、若者達、やぎ、帰る人、旅行者、母と娘、ミュージシャン、老夫婦(下り)の11のチャプターで構成されている。
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