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サムソンとデリラのmartroniksのレビュー・感想・評価

サムソンとデリラ(2009年製作の映画)
3.5
アボリジナルの若い男女の話。
この映画がどれくらいアボリジナルの現実を描けているのか分からないけど、失業率が高く差別され貧富の差が激しく政府の公的扶助が逆に堕落を招き、酒に逃避して自殺率も高く平均寿命も短い…みたいな事は聞いた事があるから、大袈裟に描いている訳では無さそう。
でも、その辺を説明的に描かないのはかなり好感が持てた(サムソンが缶に顔を突っ込んで、何をしているのか最初は全然わからなかった)。

にしても悲惨すぎる。悲惨すぎるのに、のんびりしているから鬱々しすぎる訳でもない。これがアボリジナル・イズムなのかも知れないけど、理解できない所も多々あった。
以下バレ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
デリラのおばあちゃんが亡くなった時、何故彼女が攻められたのか全く分からなかった。看病せず病院にも連れて行かず…みたいな事を言われてたけど、どう見てもたった一人で面倒を見て、ばあちゃんが嫌がる薬も飲ませていたから、病院にも(車椅子を押して)連れて行っているはず。村を追われるきっかけになったことだから、ここが納得いかないのはなにげに大きい。あと、最後に村の車を二人が乗って行ってしまうのもよく分からなかった。
なんとなくほっこりした終わり方だけど、結局最後までサムソンはなにもしない(できない)し、食料の調達も金を稼ぐ為に絵を描くのもデリラがするっていう終わり方は、状況を打破する方法は(少なくとも今のところは)なにもないんだよって言っている様で悲しくなった。
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