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ブラック・スキャンダルのryutalosのレビュー・感想・評価

ブラック・スキャンダル(2015年製作の映画)
3.8
2016.01.27 飛行機内にて

FBI史上最悪のスキャンダルを描いたクライムサスペンス。

世紀の犯罪王、ジェイムズ・ホワイティ・バルジャー、彼がいかにしてそのような異名を得るに至ったかを描いた、実話を基にした話。

いやあすごい。
じわじわと相手に詰め寄り、カエルを睨む蛇のようにねっとりと追い詰める。
ジョニデの凄み、迫力って言ったらない。

裏切り者に対する制裁はまるで容赦ない。
「殺すと思った瞬間に殺している」感がすごい。
何をやらかすかわからないので、人との対面のシーンはすごく緊張感がある。
「うわあ、この人も殺される」
と、ハラハラした。

淡々と進むのがまたリアルな雰囲気を醸している。
ハリウッドらしい、デンッデンッ、と低音の効いた派手な音楽で盛り上げたりはなく、ただその場の空気が張り詰めたまま進んでいく。
出てくる人物が大体悪党なので、警官だろうとマフィアだろうと「イケないこと」のオンパレードを見せつけられる。
極秘の任務を知ってしまったことにより、共犯者になってしまったような感覚になる。
俺もジミーに殺されちゃうんじゃないかと脅えるような感覚を持つ。

大勢の人が殺されることも、隠匿され守られてしまう、嘘のような話。

言い知れない怖さと、どこか寂しげな心を彼に感じた。

色味が渋くて綺麗な画面が印象的。
肉眼で見れば鮮やかな街、家の中なのに、
彩度を落とした落ち着いた色合いが、硬めのライティングと相まっていい感じ。
構図も好み。
古臭い顔したカンバーバッチがいると絵が決まるね。

派手さはないけれど、徹底した残虐さ、冷酷さをもっていたからこそ名を轟かせた悪者、その側からみる重厚な緊張感がクセになる犯罪映画。
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