森泉涼一

グッド・ライ いちばん優しい嘘の森泉涼一のレビュー・感想・評価

4.0
まず、この映画でスーダン内戦後の現状とロスト・ボーイズの存在を認識しなければいけない。
アメリカで難民を受け入れ就職支援をしているリース・ウィザースプーン演じるキャリーと難民との触れ合いから生まれるハートフルコメディだけではない。これは実話を基にしているが、フィクション的な部分は彼らの触れ合いのみであるのが全体を通してわかるだろう。
冒頭のスーダン内戦が描かれる長回しのシークエンスは惨い現状と悲惨な光景が広がる。だが、悲観的になることだけではなくこの経験により小さな子供たちの成長と自立精神が窺える描写は本作の後半へのポイントとなり、彼らが生きていけているルーツとなっている。
大人になった彼らの中で運に恵まれた数人の難民だけがアメリカへと移住することになる。ここからはハートフルと笑いの空間の開演だ。世間知らずな難民たちがバカ正直にアメリカ中をかき回す様は笑いも起こり、ほっこりする気持ちにもなる。
気になるのは「グッド・ライ」とスーダン内戦に巻き込まれた難民の関連性。これはアメリカに来てキャリーから学んだ一つのワードでしかない。だが難民の彼らにとっては最も重要な意味を持つワードであり、これにより助ける者、助かる者の価値観が問われるのだから実に奥深い映画である。