花波

海街diaryの花波のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.0
流れていく四季の描写がとても素晴らしい。夏の日照りも、梅雨の瑞々しさも、秋の枯葉の匂いも、冬の静けさや爪先の冷たさも、暖かな春の風も、すべて詰まっている。この一本の映画の中に。
その美しく流れゆく四季にも負けないほどの美しさと生命力に満ちた四人姉妹から目が離せない。

急かされるように大人になるしかなかった長女。
だらしなくも愛に溢れた次女。
不思議な存在感で家族の空気を和ませる三女。
そして長女に似た腹違いの四女。
それぞれの女優の演技も良く、脇役陣により彼女たちの魅力が一層引き立っている。
鎌倉に行ってみたくなる作品。

家の中でそれぞれ別のことをして、合間合間に好き勝手に話し出して、そちらとこちらと全く別の話をしているのにそれでも何だか通じあったり。
「アレするよ」とか「アレした方がいいよ」とか、言葉を濁してはっきりと言わないのに、お互い問題なくコミュニケーションを取れてたり。
そうだよね、わたしたちって、そうやって生きているのよね。この作品の中にあるのは、ありふれた日常だった。優しくて暖かくて愛しい、ありふれた、でもどこにでもあるわけじゃない、奇跡の毎日だった。
花波

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