まっすー

海街diaryのまっすーのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
3.2
2015/6/17
@新宿ピカデリー
四姉妹の鎌倉でのほのぼのとした生活風景を描いた映画になっている。

この物語の肝である、父のお葬式での幸の言葉「それはいけません。これは大人の仕事です。大人のするべき事を子供に肩代わりさせてはいけないと思います」に続く、「子供であることを奪われた子供ほど哀しいものはありません」が省かれていることが残念。この言葉があるからこそ、その後の幸からすずへの提案がただの同情からではない事が分かるし、すずは幸のことをもしかしてこの人には頼ってもよいのだろうか、この人達とならば暮らしていけるのかもしれないと考えたのだと思うから。

この話には幸やすずに子供時代を無邪気に過ごすことを許さなかった大人達が出てくる。しかし、ここではさらりと描かれているため、陽子も都も何だか妙に物分かりのよい人物として描かれてしまっている気がする。

映画では痛みや葛藤があまり描かれていないため、すずの抑圧から解放されていく変化が分かりづらく、素直で良い子だなぁという印象だけを受ける。でも本当はすずは周囲の大人達の所為で甘えることを許されず良い子に成らざるを得なかったのであり、そんなすずが姉たちに愛されることで自分の居場所を見つけていく様を描いている物語だと思う。

原作があるものはつい答え合わせをしてしまい素直に観るのが難しい。漫画を未読の場合は、先に映画を観た方が良さそう。
まっすー

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