MikiMickle

ブック・オブ・ライフ ~マノロの数奇な冒険~のMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.9
ギレルモ・デル・トロ監督が製作したアニメーション

博物館にやって来させられた曲者学生、数名。
案内係の女性は、彼らを秘密の部屋へと案内する。
そこは、メキシコの部屋で、展示されてある「命の書」を読み聞かせる。それは、世界の全てが書いてある本で…。

メキシコ。それは宇宙の中心。さらにその中心のサン・アンへルという町が舞台。その地下には、思い出の世界と、忘れ人の世界というものがあった。
思い出の世界を司るラムエルテはシュガーキャンディーでできており、すべての人を愛する。
忘れ人の国を司るシバルバはタールや汚れたものでできていて、人は悪だと思っている。
キャンドルメーカーは蝋でできていて、髭は雲でできており、二つの世界のバランスをとっていると。
そして、本には、人間の事も描かれている…

ここから、物語が始まります。
ある死者の日。
母を亡くした少年マノロ。闘牛士一家に生まれるも、本当は音楽家になりたい優しき少年。
町を守り死んだ英雄の息子のホワキンと、活発で正義感の強いマリアと、幼馴染み。
マノロとホワキンはマリアに恋するも、彼女はスペインへと行かされてしまう。
大人になり待ち焦がれた、死者の日の再会。二人はマリアの心を掴むため、奮闘するのだが、
実はラムエルテとシバルバの夫婦は、どちらがマリアと結婚するかを領土をかけて賭けており、
マノロはシバルバの悪巧みによって、死んでしまう。
彼女にもう一度会うために、マノロの冒険が始まる‼
一方で、町には悪い盗賊がホワキンの持つ永遠の命のメダルを狙って襲ってくる‼

という話。

まずこれはCGアニメ。かなりデフォルメされてます。しかし、人物が絵本の中の登場人物であるように、パペット的。木製の操り人形的。間接は細かにわかれており、なのに動きは滑らか。うっすら見える木目が可愛い♪
マリアはおめめパッチリの美人さんで、主人公らは上半身大きめ。サブキャラや悪役はかなり面白いヘンテコな造形。それだけで楽しい♪
服の装飾もたくさん可愛いドクロがついていたりして可愛い♪ 死語の世界ではドクロになってるのもかわいい♪

マノロが行く、死の世界がとてもとても素晴らしい‼
思い出の世界。それは、私たち日本人が想像する死の世界とはかけ離れています。
あまりにカラフルで、ポップで、楽しくて♪
毎日パレード‼
このシーンだけでもこの映画を観る価値があると言えるほど、素晴らしい世界観です。
色とりどりの骸骨。それぞれの家のモチーフの山車。マノロのユーモラスなご先祖様。母との再会。
メキシコの、「死」というものへの価値観を感じます。
死は悲しいものではなく、生に繋がるもの。

例えば、この映画の軸である死者の日。それは日本でいえばお盆。死者が帰ってくる日なのです。メキシコ人はお墓をマリーゴールドの黄色い花と、お砂糖でできた骸骨、パンなどでかざり、死者のメイクをしてパレードでお迎えします。その楽しげかつ不思議な雰囲気が、思い出の世界で全て再現されているように感じます♪楽しい
そして、マノロが向かう、忘れ人の国…
忘れ去れた死者が存在しては消えていく、悲しき世界…
シーンは少ないものの、虚無感と切なさ、忘れられる恐怖を感じます。

この、摩訶不思議な世界観ももちろん面白いのですが、
3人の心情も興味深いのです。
「家」というものに縛られ、しかし家族を大事に思う葛藤。自分というもの。守るべきもの。そういった、様々なしがらみと葛藤の中で、
愛のために、全てのために、奮闘していく彼らがユーモラスに描かれています。

様々な種類の愛を感じます。
ラムエルテとシバルバの神様二人も、きちんと愛があります。故に、悪どい事をするシバルバも、嫉妬などするラムエルテも人間味が溢れ、どちらも魅力的なのです。

冒頭や度々でてくるアメリカの問題児たちも、可愛い♪彼らはきっと、この先素敵な人生をおくるでしょう♪

音楽もラテン的で楽しいです。マノロの歌う「Can't Help Falling In Love」 など、キュンっとします♪

声の出演はマノロにディエゴ・ルナ、マリアにゾーイ・サルダナ、ホワキンにチャニング・テイタム、その他アイス・キューブやロン・パールマン、ダニー・トレホなど♪←出た‼トレホ(笑)

純粋な気持ちを持ち続ける大事さ、
ありのままであること、自分に誇りを持つ事、自分の道をいく事…
そんな事を、楽しさと不思議な世界で感じた一作でした。
「自分の物語をつくれ。」
この言葉が響きます。

死の観念、ドクロ、愛、家族、自我、友情、メキシコ文化…そんなものがたくさんつまった、カラフルで不思議なおもちゃ箱♪
MikiMickle

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