よしおスタンダード

けむりの街の、より善き未来はのよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

4.0
No.3005

『新聞記者』
『ヤクザと家族 The Family』の

藤井道人監督、28歳時の初期作品。

『ヤクザと家族』の原型のような群像劇で、なかなか面白い。

何となく「生きづらさ」を感じ、その、「けむり」のようにまとわりつく「生きづらさ」と対峙し、それぞれにとっての「より善き未来」を模索していく登場人物たち。

また「けむり」のような、吹けば飛ぶほどの薄い存在のはずなのに、それでも明確に感じざるを得ない、他人との絶対的な距離感。

この、「人の生きづらさ」と「他人との距離感」を描くのが、藤井監督は本当にうまい。

ほとんどのシーンで、誰かがタバコを吸っているが、そこから出ている「煙」が、

この作品の脆さ、どこへ着地するか分からない危うさを象徴し、見る者にさえ、不安定な印象を与える。