No.3005
『新聞記者』
『ヤクザと家族 The Family』の
藤井道人監督、28歳時の初期作品。
『ヤクザと家族』の原型のような群像劇で、なかなか面白い。
何となく「生きづらさ」を感じ、その、「けむり」のようにまとわりつく「生きづらさ」と対峙し、それぞれにとっての「より善き未来」を模索していく登場人物たち。
また「けむり」のような、吹けば飛ぶほどの薄い存在のはずなのに、それでも明確に感じざるを得ない、他人との絶対的な距離感。
この、「人の生きづらさ」と「他人との距離感」を描くのが、藤井監督は本当にうまい。
ほとんどのシーンで、誰かがタバコを吸っているが、そこから出ている「煙」が、
この作品の脆さ、どこへ着地するか分からない危うさを象徴し、見る者にさえ、不安定な印象を与える。