二階堂ふみの、期待を裏切らない自然な演技は想定していたけど、渋谷すばるがいい味出してるのにはポジティブにビックリした。記憶を失い鏡に写る自分を見て”誰や” と呟くシーンや、思い出そうとして思い出せず ” わからん” と絞り出すように口から漏れる言葉。記憶を失い、言われたことに茫然自失状態でコックリとうなづき何事にも愚直に取り組む姿が、捨てられて別の人に拾われた仔犬のようで、『ポチ男』はなんて絶妙な名前なんだ！と変なところで感心した(笑)。
茂雄としての記憶が戻った時のクズっぷりとの対比もなかなか。正直、表情自体は豊かには見えないのに、上手く演じ分けていたから不思議。星が少なめなのは、記憶の回収までに多くの時間を割いた反面、ポチ男とカスミ 2人の心の変遷や心情的な関わりがあっさりし過ぎているから。あくまでも個人的嗜好だけど、心情描写ガッツリのほうが好みなので、実力派の二階堂ふみと いい味出してる渋谷すばるの絡みや気持ちの交わりをもっと見たかったというのが本音。
自分を見つけようともがくポチ男の一生懸命な姿と、そのキャラがなかなか良かったです。
