わち

百円の恋のわちのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
3.8
引きこもっていた実家を追い出された一子(安藤サクラ)が不器用に生活しながら、その中でぶち当たる人間関係によって生まれたフラストレーションをボクシングへと向けていくという、とてもストレートな物語(ボクシングなだけに)。
何と言っても安藤サクラが恐ろしいくらい一子役にハマっていて、体型も意思もフニャフニャだった一子から、キレキレの体と試合がしたいという強いこだわりを持つ一子へと変化していく様にリアリティが溢れていて、どんな台詞よりもシャープに繰り出されるパンチにそれまでの出来事を払拭する強い意思が感じられる。
ちょくちょく挟まれる笑いどころもクドくなく、「マジっすか」の店員も、噛みきれない肉塊も笑えたが、特に帰宅した一子に狩野が放つ「ぶりっ子してんじゃねえぞ殺すぞ」は何だか新井浩文が安藤サクラに役者として言ってるようにも聞こえて可笑しかった。
ただ一点言いたいのは、最後の試合前からの演出が感動を煽るテレビドラマみたいになっていて、高まった感情をむしろ盛り下げられるようで個人的には逆効果になってしまい少し残念だった。ラストなだけに、何だかすごくもったいない。
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