そりっどあいぼりー

荒野の千鳥足のそりっどあいぼりーのレビュー・感想・評価

荒野の千鳥足(1971年製作の映画)
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アルコール・ハラスメント系映画で最悪最凶の傑作。たまたま立ち寄った田舎町でアルコールを強要され、賭けに魅了され、ついにはカンガルーを殺戮しまくっていくという狂気に満ちた作品。何よりも恐ろしいのは、この映画には悪役は出てこないということだ。全員が善意でアルコールを勧めて一緒に楽しもうとしたが故に、誘われた側はその場所に囚われてしまい、破滅に向かっていく。一緒に楽しもうという善意の押し付けが爆発した時に、誘われた側は極限まで追い込まれてしまうのだ。狂気表現も素晴らしく、見ているだけで酔っ払っているような気分にさせられてしまうのも秀逸。

アルコールはたまたま日本では合法化されているだけで、立派なドラッグであることがこの映画でよく理解できる。アルコールを摂取して、ハイになった上で殺戮の限りをつくすのだから。アルコール=ドラッグであるという点をよく知った上で、我々はアルコールを嗜むべきだ。最後真面目になってしまったが、シチュエーションは違えども、我々の身にも簡単に起こりそうなことなのでそこもまた怖いのだった。