かたゆき

フランキー&アリスのかたゆきのレビュー・感想・評価

フランキー&アリス(2010年製作の映画)
2.5
1957年、ジョージア州サバンナ。
場末のキャバレーでストリッパーとして働く黒人女性フランキーは、そのもって生まれた美貌と抜群のスタイルで男どもの人気を博していた。
同じくストリッパーの同僚女性とともに、それなりに充実した日々を過ごしていたフランキーだったが、彼女には誰にも言えない暗い秘密が――。
それは時々記憶がなくなり、気がつくと何故か路上で寝ていたり、身に覚えのない大量の服を買っていたりしてしまうこと。
そんなフランキーの行動は次第にエスカレートしてゆき、いつしか警察沙汰となってしまう。
「このままじゃ、あたし、刑務所行きだわ」
窮地に陥った彼女は、以前知り合った精神科医のオズ博士に連絡を取り、刑務所送りを免れるためにカウンセリングを受けるのだった。
診察を終えた博士が下した結論、それは彼女の深層意識には〝アリス〟という名の白人女性をはじめとする別人格が多数存在して、時々その人格が入れ替わってしまう多重人格障害の持ち主だという過酷な現実だった……。
実話を基に、オスカー女優ハル・ベリーがそんな多重人格障害を患うストリッパーの苦悩と再生を丹念に演じたヒューマン・ドラマ。

なんだけど、うーん、実話を基にした映画の駄目な部分ばかりが目立つ典型的な作品だと僕には思えました。
はっきり言ってお話の見せ方が恐ろしく単調。
実話を基にしたからこそ、それを観客に如何に興味深く見せるかが映画という芸術手法の醍醐味なのに、本作はそのお話の見せ方がとにかく弱い。
こんな、幾らでも面白くなりそうな題材を扱っているのに、これって凄く勿体無いことですよ、ホント。
正直、僕はもう途中から眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。
それに製作も兼務したハル・ベリーの、いかにも多重人格を患う社会的弱者を頑張って演じてますって感じも妙に鼻について仕方ありません。

と、厳しい評価となってしまいましたが、それでも黒人がまだ差別されることが当然という風潮が根強く残っていた時代に、懸命に生きたある黒人女性の苦悩を現代に甦らせたことに本作の意義を見出したいと思います。
星2.5。
かたゆき

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