ハミングバード

フランキー&アリスのハミングバードのレビュー・感想・評価

フランキー&アリス(2010年製作の映画)
4.0
『カッコーの巣の上で』が1975年で『ルポ精神病棟』が1981年であることを思うとこのアメリカでの1970年代初頭にしてはオズワルド医師に出会えたことがフランキー&アリスにとっての最高の幸せだったことは間違いないと思う。オズワルド医師は、人間の脳がもたらす心の傷をどこか別の世界へと押しやる能力(これを病気だということかもしれないが)を少しずつ丁寧に解きほぐしながら、彼女の心の傷の全容を明らかにしていく治療法は正に人間に対する愛情であり人間の脳が持つ能力へのリスペクトではないだろうか。誰もがその人にとっての大きな心の傷を持っていることを思えば、オズワルド医師との出会いが無くても、フランキー&アリスは同居することが出来る脳力を持つ人間の素晴らしさをも実感出来る。つくづく人格とは生まれや才能だけでなく経験や生き方が造るものだと痛感させられる。この作品は、決して二重人格というオカルトがテーマでは無く人間を描いた映画だと思います。皆さんが書く様に、自らプロデュースした主演のハルベリーも最高です。
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